BLWから見た従来の離乳食の問題点って?

考え方
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こんにちは。

これまでの記事では主にBLWの進め方や考え方などBLWにフォーカスして解説してきましたが、今回の記事では視点を変えて、BLWから見た従来の離乳食の問題点について説明します。

あくまでもBLW側の意見を紹介するもので、従来の離乳食を否定する意図は全くありません。

こういうものの見方もあるんだなという気持ちで読んでいただけますと幸いです。

BLWから見た従来の離乳食の問題点って?

まず明確にしておきたいことは、従来の離乳食が悪いと言っているわけでは決してありません。

多くの日本人が従来の離乳食で育ってきたことと思いますが、ほとんどの人が特に問題なく食事を楽しめていますよね。

ただし一方で、従来の離乳食はBLWでは起こらない問題を起こす可能性を秘めているとBLWの提唱者Gill Rapley氏は著書の中で述べています。

その問題とは大きく分けると、

  1. スプーンであげること、
  2. ピューレ状の食材をあげること、

の2つに起因していると考えられます。

スプーンあげの問題点って?

スプーンあげは、食事に関して子どもの自主性を伸ばす理想的な方法ではないと考えています。

スプーンを使用することそれ自体が悪いわけではありませんが、大事なことは誰がスプーンを使用しているかです。

スプーンあげの問題点を細かく見ていきましょう。

自分でコントロールできない

スプーンあげの最大の問題点は、赤ちゃんがどの食材をどれくらいの量、どんなペースで食べるかを自分でコントロールできないというところです。

自分が物事をコントロールできていると感じることは幸福度を決める重要なファクターであり、いかに物事に主体的に関わっていくかにも大きく影響します。

パパママによって口まで運ばれる食材を受動的に食べるスプーンあげでは、なんでも自分でやってみたい赤ちゃんの探究心が満たされませんし、食事に主体的に関わっていく姿勢を育てるのも難しいかもしれません。

早食いや過食、肥満につながる

スプーンあげの場合、パパママによって食事が次々とお口の前に運ばれてくるので、自分で食べる場合と比べて早食いになったり、また体が本当に必要としている分よりも多く食べる傾向があります。

これを毎食繰り返していると徐々に満腹感に鈍感になっていき、過食や肥満につながる可能性が考えられます。

好き嫌いにつながる

赤ちゃんが自分で食事をコントロールしていれば、例えば新しい食材を試してみて、もし嫌いだったらべーっと吐き出すことも、もうそれ以上食べないことを選択することもできます。

一方でスプーンあげの場合はどうでしょうか。赤ちゃんが食べ物を吐きだしても、嫌いなのかな?でももう一口だけ食べてみない?などとオファーしたことはありませんか。

このような経験が続くと赤ちゃんは、好きと確信していない限り食べ物を口に入れるのを嫌がるようになるかもしれません。

このようにして食べ物の好き嫌いが多くなっていくということが考えられます。

自分で食べるよりも楽しくない

シンプルに、スプーンで食べさせられるのは自分で食べるほど楽しくありません。

もちろんスプーンあげを嫌がらない子も多いのですが、主体的に楽しんで食べるBLWと比べると、スプーンで食べさせられることを本当に楽しんでいるというよりは受け入れているという感じに近いのではないでしょうか。

同じ食事なら楽しんで食べたほうがいいですよね。

ピューレ状の食べ物を与えることの問題点って?

すり潰したピューレ状の食べ物は、咀嚼することが難しい方の食事に取り入れたりするのはもちろん有効ですが、6ヵ月の赤ちゃんには必要ないとBLWでは考えています。

ポタージュスープやマッシュポテト、スムージーなど、ピューレ状やマッシュ状の食べ物は私たちの食事の一部でもあるのでそれ自体が悪いわけではありませんが、赤ちゃんにあげるすべての食べ物をすり潰す必要は全くありません。

手間がかかる上、いくつかのデメリットも考えられます。

食材そのものを経験できない

食べ物をすり潰してしまうと味や香りはともかく、その食べ物特有の見た目や食感、触感は失われてしまいます。

これでは食材そのものを経験できず、それぞれの食材がどのように見えてどういう感触なのか学ぶ機会が少なくなってしまいますね。

また従来の離乳食では、苦手な食材を食べさせるため複数の食材を一緒にピューレ状にしてしまうことも珍しくありませんが、これではますます食材そのものを味わうことはできなくなってしまいます。

いろんな食材が混ざったピューレ状の食事よりも、それぞれの食材がどんな味や感触なのか体験しながらの食事のほうが楽しいのではないでしょうか。

噛まずに飲み込むことを覚えてしまう

ピューレ状の食べ物は噛む必要がないため、スプーンからごくんと飲み込むのは簡単ですね。

これを見て、離乳食を食べた!と喜ぶかもしれませんが、本来食事に必要な噛むというステップを飛ばして飲み込むことを覚えてしまうのは果たして喜ぶべきことなのでしょうか。BLWはそうは考えません。

咀嚼することは安全に食べるためにも重要なスキルですし、離乳食を食べる時期になったのに噛む経験をさせないというのは、歩けるようになったのに歩くチャンスを与えないようなものです。

赤ちゃんの健やかな発達に添っていない方法であるように思われます。

ステップアップ時の適応が大変

とろとろのピューレ状から始めて少しづつ粒を大きく固くして固形物に近づけていくのが、従来の離乳食の進め方ですね。

徐々にステップアップしていく良い方法のように感じられるかもしれませんが、逆にステップアップ時の適応に苦労するという欠点もあげられます。

例えば、ピューレ状のものをごっくんと飲み込むことに慣れていた赤ちゃんが粒の大きなものをごくっと丸呑みして咽頭反射を引き起こすような場合も。

咽頭反射とは、舌の奥辺りを指で押してみた時におえっとなる反応です。誤嚥を防ぐために必要な正常な反射ではあるのですが、いかんせん不快ですよね。

新しい食感に慣れるのが難しくなかなか次のステップに進めなかったり、極端な場合離乳食を拒否するようになってしまうようなこともあるかもしれません。

段階を踏まないBLWでは、この問題は起こりようがありません。

消化に悪い

ピューレ状にすり潰された食べ物は一見消化がいいように感じられるかもしれませんが、噛まずにごっくんと飲みこまれてしまうので実は唾液としっかりと混ざっておらず、必ずしも消化にいいとは限りません。

一方BLWでは飲み込む前によく噛む傾向があり、食べ物はしっかりすり潰されて唾液とよく混ざるので消化されやすいです。

栄養素が失われる

特に野菜や果物の場合、すり潰すことによって食材の栄養価が失われる可能性があります。

例えばビタミンCは切断面からいくらか失われるのですが、すり潰した場合表面積はさらに大きくなり、より多くのビタミンCが失われていきます。

こうして、わざわざ手間をかけてそのまま食べるよりも栄養価の低いピューレ状の食べ物を作っているのが従来の離乳食であると言えます。

まとめ

BLWから見た従来の離乳食の問題点は大きく分けて、①スプーンあげ、②食材をピューレ状にすること、の2つに起因していると考えられます。

①スプーンあげによる問題点はこちら

  • 自分でコントロールできず、食事に対する主体的な姿勢が育たない
  • 早食いや過食、肥満につながる
  • 好き嫌いにつながる
  • 自分で食べるよりも楽しくない

②食材をピューレ状にすり潰すことによる問題点はこちら

  • 食材そのものを経験できない
  • 噛まずに飲み込むことを覚えてしまう
  • ステップアップ時の適応が大変
  • 消化に悪い
  • 食材の栄養素が失われる

赤ちゃんにいきなり固形物を与えるBLW的な離乳食はおそらく人類史上いたるところで存在してきたと思いますが、BLWはそれを理論化・言語化して、従来の離乳食のここが問題とはっきりと指摘したという点において革新的であると感じました。

離乳食に正解不正解はなくいろんな離乳食があっていいのだと思います。

ということで、今回はBLWから見た従来の離乳食の問題点について解説しました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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