こんにちは。今回の記事は、BLW(ベビーレッドウィーニング)の誕生秘話についてお話しします。
BLWの進め方やおススメアイテムなどのお役立ち情報はありませんが、読み物としてお楽しみいただければ幸いです。
ベビーレッドウィーニング誕生秘話!BLWはどうやって生まれた?
まずは基本のおさらいから。BLW(ベビーレッドウィーニング)とは、ピューレ状の離乳食をスキップして、いきなりつかみ食べから始めるというイギリス生まれの離乳食です。
日本語では赤ちゃん主導の離乳食とも言われています。
赤ちゃんがいきなりつかみ食べから始めるという方法自体はずっと昔から存在していたと考えられますが、開始時期や進め方、なぜこの方法がよいのかという理論を確立させたのは、Baby₋Led Weaningの著者の一人、Gill Rapley氏です。
そもそもベビーレッドウィーニング という言葉も彼女の造語。
2019年11月、いよいよ日本語版が発売されました!
原書(英語版)はこちら。
では、Gill Rapley氏がどのようにしてベビーレッドウィーニング理論を確立するに至ったのか、経緯を見てみましょう。
従来の離乳食に疑問を感じたきっかけ
Baby-Led Weaningの著者であるGill Rapley氏が従来の離乳食のやり方に疑問を感じたのは、保健師としての経験にさかのぼります。
彼女は保健師として20年以上も離乳食に悩みを抱えている多くの家族を見てきて、従来の離乳食がうまくいっていない事態に心を痛めていました。
多くの家族が抱える離乳食の悩みって?
その当時のイギリスでは、生後4ヵ月からピューレ状の離乳食を始めることとされていましたが、多くの赤ちゃんが離乳食を嫌がり、食べ物を受け付けませんでした。
なんとか赤ちゃんに食べさせようとして無理やり食べさせるパパママもいましたし、結果食べ物を喉に詰めてむせたり吐いたりすることも非常に多く、パパママにとっても赤ちゃんにとっても食事時間は極めてストレスフルなものでした。
どうして赤ちゃんは離乳食を嫌がるの?
Gill Rapley氏は、赤ちゃんが離乳食を嫌がるのは、食べ物そのものを嫌がっている訳ではなく食べさせられるという行為を嫌がっているのではないかという仮説を立てました。
そこで、離乳食で悩んでいる家族に、離乳食を始めるのをもう少し待って赤ちゃんに自分で食べさせてみてはと提案したところ、赤ちゃんが離乳食を嫌がることが明らかに少なくなり、両親のストレスレベルも劇的に下がりました。
この経験から、自分で食べること、赤ちゃんが食事をコントロールするということが大事なポイントなのではないかと考えるようになりました。
実験:赤ちゃんに自由に食べ物を触らせると起こることって?
そこでGill Rapley氏は、赤ちゃんに自由に食べ物を触ったり扱ったりする機会を与えてあげればどのような行動をするのかという実験を行いました。
その当時離乳食を始める月齢とされていた生後4ヵ月の赤ちゃんを集めて、スプーンあげの離乳食ではなく、食材を手に取って扱ったり観察したりあるいは口に入れたりと、とにかく自由に食事をさせてみました。
食事の様子や食べ物に対する反応、全体的な発達を観察するこの実験は9ヵ月まで継続されました。
4、5ヵ月:食べ物に手を伸ばすがまだ食べない
実験の結果、4ヵ月では赤ちゃんは食べ物に手を伸ばしますが、最初は上手につかむことはできないということが分かりました。いったん食べ物をつかみ始めると、食べ物を口まで持っていくようになりました。
5ヵ月で噛んだりむしゃむしゃ食べたりする子もいましたが、この時点では食べ物を飲み込むことはしませんでした。とにかく食べ物で遊ぶという行為に夢中でした。
6ヵ月:食べ物を上手に口まで運び食べ始める
6ヵ月半までには、ほとんどすべての赤ちゃんが食べ物を上手に口まで運べるようになり、1,2週間ほどもぐもぐする練習をした後、食べ物を飲みこみ始めました。
時間の経過につれ徐々に食べ物で遊ぶことは少なくなり、食べることにより集中し始め、また、手と目の協調関係と手先の器用さの発達に伴い、より小さな食べ物もつまめるようになりました。
9ヵ月:様々な食材を手づかみ食べ
9ヵ月になる頃には、すべての赤ちゃんが家族と同じ食事から様々な食材を食べていました。
手づかみ食べをしている子が大多数でしたが、中には既にスプーンやフォークを使い始めている子もいました。
ピューレ状の離乳食から始めなくても特に問題はありませんでしたし、食べ物を喉に詰まらせて吐くようなこともほとんどありませんでした。
何より赤ちゃんは新しい食べ物に挑戦することを喜んで、食事を楽しんでいるように見えました。
実験:スプーンあげと自分で食べる方法を比較検証
続いてGill Rapley氏は、離乳食の始め方に関してさらに詳細な調査を進めました。
初めて離乳食を食べる赤ちゃんに、ピューレ状にした食材のスプーンあげと、柔らかく調理した食材を自由に触ったり食べさせたりする2つの方法を行い、反応を比較したのです。
赤ちゃんの反応は?
この2つでは、赤ちゃんの反応は全く異なっていることが明らかになりました。
自分で食べる時は夢中になって食べ物や食事に興味を示していましたが、スプーンあげの場合は、スプーンを避けようとすることに多くの時間を費やしていました。
実験には同じ食材を用いたので、食べ物そのものではなくどのように食べ物を提供されるかに対する反応の違いだということも明らかになりました。
結論:『自分で食べる』ことが大切
彼女の研究は、人間の赤ちゃんも他の哺乳類の赤ちゃんと同様、焦らずとも時が来れば自分で食べるスキルを習得するものだということを示唆しました。
同時に、本能に従い自分で食べる赤ちゃんは食事の幸福感が高いということも示唆しました。
まとめ
Gill Rapley氏は、保健師として離乳食に悩む家庭を多く見てきた経験から、ストレスレスな離乳食方法を模索していました。
その過程で、赤ちゃんが自分で食べること、自分で食事をコントロールすることが大事という仮説に基づき様々な研究を重ねたうえで、赤ちゃん主導の離乳食、ベビーレッドウィーニングを確立しました。
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